癌の悪性度とは

診療情報提供書

騙しのテクニック

がんセンターの診療情報提供書に下記のような記述がありました。

ご両親からお聞きになった「病態が悪く、進行のはやいがん」という内容について、

・今回の直腸癌切除の術前術後の肝MRI検査からわずか3週間の間隔で検査しております。この短期間の間に肝内に新しい病変や既存病変の明らかな増大を認めています。現状態で肝切除に望むのは術後早期再発の可能性が高いこと、肝切除による術後に化学療法を行うことが困難になることがあるため、化学療法先行を提案いたしました。

・切除した直腸癌につきましては、脈管侵襲(v2,Ly2)、腫瘍先進部にbudding所見があること、粘膜下進展があること、術前画像診断で腫大を認めていないリンパ節(3群リンパ節(一番中枢側のリンパ節))への転移があることなど悪性度が高いことを示唆する所見があります。病理レポートをご参照ください。

1. 術前術後3週間で肝内に新しい病変や既存病変の明らかな増大を認める。

大腸がん手術の基本はNo touch Isolation technique といって主要病変を操作する前に腫瘍に行く血管の血流を遮断し転移を防ぐことが基本です。本例は最初S状結腸癌の診断もと腹腔鏡手術が行われました。しかしながら直腸ヘの浸潤があり直腸も追加切除されました。支配血管がコントロールされないまま追加切除が行われたことになり転移が増強されたといえます。大腸癌治療ガイドラインには「直腸癌に対する腹腔鏡下手術は,腸管切離・吻合操作の難度が高いこと,腹腔鏡下の側方郭清の手技が確立されていないことなどから,現時点では適正に計画された臨床試験として実施し,有効性と安全性を確認する必要がある。」と記載されています。

自分たちの診断、手術手技の選択ミスを悪性という言葉で隠蔽しています。

2. 「切除した直腸癌につきましては、脈管侵襲(v2,Ly2)、腫瘍先進部にbudding所見があること」が、悪性度が高い判断基準として書かれています。しかしながらこれらの事項は有効な化学療法があれば、悪性度が高いと表現する意味はありません。脈管侵襲、buddingはそのがんセンターの化学療法の能力によって異なると思います。転移病巣は腫瘍微細環境が原発巣と異なり、薬剤併用によりコントロール可能となります。血液がんが薬剤反応性が高いことからも理解可能と思います。 「粘膜下進展があること、術前画像診断で腫大を認めていないリンパ節(3群リンパ節(一番中枢側のリンパ節))への転移があることなど悪性度が高いことを示唆する所見があります。」全く悪性度とは関係ない現象でこじつけと言って良いでしょう。